粘性と非粘性

粘性とは

粘性(viscosity)とは、流体を動かすときに抵抗力が働く性質のことで、いわゆる流体の粘り気です。

水とハチミツをイメージすると、ハチミツの方がドロドロで粘性による抵抗力が強いことは容易に想像できると思います。

粘性の強さは粘性係数 \(\mu\) [Pa・s]という指標で表されます。

 粘性係数とは?

水と空気の粘性係数

  • 水の粘性係数:\(\mu=1.12 \times 10^{-3}\) [Pa・s](15℃)
  • 空気の粘性係数:\(\mu=1.79 \times 10^{-5}\) [Pa・s](15℃)

水よりも空気の方が粘性が小さいので粘性係数も小さい値になります。

(出典:Fundamentals of Fluid Mechanics (Fourth Edition) Table 1.6, 1.8)

粘性と非粘性

粘性がある流体を粘性流体(viscous fluid)、粘性がない仮想的な流体を非粘性流体(inviscid fluid)といいます。

粘性流体では粘性によって物体表層に速度分布ができます。これを境界層といいます。粘性流体と物体の境界面は摩擦によって速度ゼロになります。この条件を滑りなしの条件(no-slip condition)といいます。

一方、非粘性流体では物体との間に摩擦がなく境界面で流れが滑るため境界層はできません。物体と流体の境界面が滑る条件を滑り条件(slip condition)といいます。

 境界層とは?

非粘性流体を導入するメリット

実在しない非粘性流体を導入する理由は、流れの様子を簡易化できるメリットがあるからです。

例えば翼のまわりの空気の流れでは粘性の影響が表れるのは物体近傍のみで、流れの大部分は非粘性としても問題ありません。

実際に流体シミュレーションでは、粘性を有無で計算時間が大きく変わるので実用上大きなメリットがあります。

まとめ

  • 粘性とは、流体を動かすときに抵抗力が働く性質のこと。
  • 粘性流体は粘性による摩擦のために物体表層の流れに速度分布ができる。
  • 非粘性流体には流れを簡易化できるメリットがある。
参考資料
  • Fundamentals of Fluid Mechanics (Fourth Edition)
次の記事

ニュートンの粘性法則

2018.02.25

次の記事では、粘性による抵抗力を式で表したニュートンの粘性法則について解説します。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUTこの記事をかいた人

1985年9月生まれ。大阪出身。息子と娘の2児の父。
東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了。
学生時代は数値流体力学を用いた航空機の空力設計の研究に従事。
卒業後は航空機製造メーカーにて旅客機の設計を担当。