翼型の失速の種類と仕組み

翼型の失速には様々な種類があり失速の起こり方で分類できます。この記事では、翼型の失速の種類とその発生原理について図解で解説します。

翼型の失速の種類と特徴

NACA-TN-3963によると、翼型の失速は大きく分けて4つのカテゴリーに分けられます。

  1. 後縁失速(Trailing-edge stall)
    迎え角を大きくするにつれて、後縁から乱流剥離点が徐々に前方へ移動することによって失速する。
  2. 前縁失速(Leading-edge stall)
    迎え角を大きくすると前縁から突然剥離して失速する。剥離後、再付着しない。
  3. 薄翼失速(Thin-airfoil stall)
    前縁から剥離したあと再付着し、迎え角を大きくするにつれて再付着点が徐々に後縁へ移動し再付着点が後縁に達すると失速する。
  4. 複合失速(Combined stall)
    ①後縁失速と②前縁失速の両方の失速特性を持つ失速。

ここでは基本的な失速の型である①〜③について、それぞれの失速の特徴と仕組みについて解説します。

①後縁失速の仕組み

後縁失速は翼厚比約0.15以上の厚みのある翼型で起こります。

後縁失速では、乱流境界層の剥離が後縁から始まり、迎え角が大きくなるにつれて剥離点が徐々に前縁に移動します。

剥離領域が徐々に拡大するので、失速時の揚力減少や抵抗増加も比較的緩やかなのが後縁失速の特徴です。

②前縁失速の仕組み

前縁失速は翼厚比約0.09~0.15の翼型で起こります。

前縁失速では、迎え角を大きくすると前縁付近に小さな層流剥離泡と呼ばれる剥離ー再付着領域が発生します。

失速角付近に近づくと剥離泡は前縁に向かって移動し、再付着できなくなると前縁から大きく剥離します。

前縁失速では、突然失速することから揚力減少と圧力抵抗の増加が急激に起こるのが特徴です。

層流剥離泡とは

層流剥離泡とは、前縁付近で層流が剥離したあとすぐに乱流に遷移することで再び物体に付着する流れのことです。

③薄翼失速の仕組み

薄翼失速は翼厚比約0.09以下の翼型で起こります。

薄翼失速では、小さな迎え角から前縁で層流剥離泡が生じ、迎え角が大きくなるにつれて剥離泡の再付着点は後縁に向かって移動していきます。

剥離泡の再付着点が後縁に達すると流れは剥離し失速します。

まとめ

  • 翼型の失速の基本型として、後縁失速・前縁失速・薄翼失速の3つある。
  • 後縁失速は、後縁から徐々に剥離するため失速時の揚力の変化は緩やか。
  • 前縁失速は、前縁から突然失速するため失速時の揚力の変化が大きい。
  • 薄翼失速は、層流剥離するものの再付着により揚力が維持される。

翼型の失速に関する詳細は、NACA-TN-2502にとても詳しく記述されています。興味のある方は是非ご覧ください。

参考資料
次の記事
スポンサーリンク

2 件のコメント

  • はじめまして。とても参考になります。各翼型ごとの剥離現象は理解できたのですが,翼厚比によってどうしてこのような違いがでるのか,勉強するのに好適な文献がありましたらご教示いただけないでしょうか? できれば和文でお願いしたく。

    • ヒラノさま、コメントありがとうございます。

      申し訳ないのですが、和文の文献はこちらも良い文献を知りません。
      この記事でも参照しているNACA-TN-2502には、各翼型の剥離のメカニズムについて記述があり理解の助けになるかもしれません。(残念ながら英文ですが^^;)
      もっと良い文献を見つけたら、また記事にしたいと思います。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    ABOUTこの記事をかいた人

    1985年9月生まれ。大阪出身。息子と娘の2児の父。
    東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了。
    学生時代は数値流体力学を用いた航空機の空力設計の研究に従事。
    卒業後は航空機製造メーカーにて旅客機の設計を担当。