翼型まわりの空気の流れ(非粘性流体)

この記事では、非粘性流体での翼型まわりの空気の流れを解説します。

非粘性流体は実際の粘性流体とは流れの様子が異なりますが、圧力の変化や流れの加速など翼型まわりで起こる基本的な現象は非粘性流体で学ぶことができます。

粘性を考慮した翼型まわりの空気の流れは「翼型まわりの空気の流れ(粘性流体)」をご覧ください。

翼型まわりの流れの様子(非粘性流体)

上の図は非粘性流体の翼型まわりの速度と圧力の様子を解説います。圧力と速度のグラフは翼表面に沿っタ変化を示しています。

重要なポイントは以下の2点です。

  • 前縁と後縁で速度ゼロ(圧力最大)、最大翼厚位置で最高速度(圧力最小)となる。
  • 前縁から最大翼厚位置までは負の圧力勾配、最大翼厚から後縁までは正の圧力勾配となる。

それぞれ詳しく解説していきます。

一様流から前縁までの流れ(①〜②)

一様流は翼型の前縁に近づくにつれて流れが翼にせき止められるので、ベルヌーイの定理から速度(動圧)は減少し圧力(静圧)が上昇します。

翼型の前縁では流れは完全に停止し運動エネルギーは全て圧力に変換されます。この点のことをよどみ点といいます。

 ベルヌーイの定理とは?
 静圧・動圧とは?
 よどみ点とは?

前縁から最大翼厚位置までの流れ(②〜③)

前縁で圧力が上昇したので、その高い圧力によって翼表面の流れは後方に向かって加速されます。

流れの加速は翼の最大翼厚位置まで起こり、最大翼厚位置で最高速度に達します。その速度は一様流の速度 \(v_\infty\) よりも大きくなり、圧力が一様流の圧力 \(p_\infty\) よりも低くなります。

重要なポイントは、前縁から最大翼厚位置まで圧力が徐々に下がる負の圧力勾配になっていることです。

負の圧力勾配は流れの方向に流体を押すので、流れをアシストする働きがあります。

 圧力勾配とは?

最大翼厚位置から後縁までの流れ(③〜④)

最大翼厚位置で最大となった速度は後縁に向かって徐々に減速し、後縁で完全に停止します。

速度が減速した結果、圧力は徐々に回復し後縁で再びよどみ点圧まで上昇します。

重要なポイントは、最大翼厚位置から後縁までは圧力が徐々に上がる正の圧力勾配になっていることです。

正の圧力勾配は流れを止める働きがあります。

後縁より後方の流れ(④より後方)

後縁より後方の流れは、徐々に一様流の速度 \(v_\infty\) ・圧力 \(p_\infty\) へ戻っていきます。

まとめ

  • 前縁と後縁で速度ゼロ(圧力最大)、最大翼厚位置で最高速度(圧力最小)となる。
  • 前縁から最大翼厚位置までは負の圧力勾配、最大翼厚から後縁までは正の圧力勾配となる。
参考資料
次の記事

次の記事では、流体に粘性がある場合の翼型まわりの流れについて解説します。

翼型まわりの空気の流れ(粘性流体)

2018-03-19
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ABOUTこの記事をかいた人

大阪出身。
東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了。
学生時代は数値流体力学を用いた航空機の空力設計の研究に従事。
卒業後は飛行機設計関連の仕事を担当。