翼型の種類と特徴 ー ライト兄弟の飛行機から現代の旅客機まで

この記事ではライト兄弟の飛行機から現代の旅客機に採用されている翼型まで、代表的な翼型の種類とその特徴について解説します。

薄翼(Thin airfoil)

初期の航空機の翼型として採用されたのが、鳥の翼の断面(上図5番目)のような厚みのない薄翼(Thin airfoil)です。

有名なライト兄弟の飛行機「Wright Flyer」の翼型(上図1、2番目)も薄翼でした。

現代では、薄翼は鳥の大きさの飛行には適していますが、旅客機のようにサイズや飛行速度も大きい飛行条件(レイノルズ数が大きい条件)には適さないことが分かっています。

薄翼と厚翼の性能の比較(レイノルズ数の影響)については「翼型の空力特性 ー レイノルズ数の違いによる影響(厚翼と薄翼)」をご覧ください。

薄翼の空力特性は「薄翼理論」で理論的に推算できます。

平底翼(Flat-bottomed airfoil)

薄翼の次に開発されたのが厚みのある翼型で、その中でも翼の下面がフラットになっているものを平底翼(Flat-bottomed airfoil)といいます。

翼型に厚みがあることで構造的にも有利という特徴があります。

特に空力特性の良い翼型として開発された「Clark Y」が有名です。

ジューコフスキー翼(Joukowski airfoil)

ジューコフスキー翼(Joukowski airfoil)は、ロシアの空気力学者ジューコフスキーが提案した翼型で、数式で翼型を表すことができます。

薄翼理論では薄翼の空力特性しか推算できませんでしたが、ジューコフスキー翼では厚みのある翼型においても推算できます。

ジューコフスキー翼はドイツのGöttingen(ゲッチンゲン)大学の研究所で風洞試験が実施されました。

NACA翼 – 4桁系(NACA 4-digit series airfoil)

NACA 4桁系の翼型(NACA 4-digit series airfoil)は、現在のNASAの前身であるNACA(National Advisory Committee for Aeronautics )が1933年に発表した翼型です。

翼型名称の数字4桁は、キャンバーの大きさや位置、翼厚比を表すパラメータになっています。最大翼厚位置はコード長の30%位置にあります。

4桁系のNACA翼は形状を数学的に式で表すことができます。

NACA翼 – 5桁系(NACA 5-digit series airfoil)

NACA 5桁系の翼型(NACA 5-digit series airfoil)は、NACA 4桁系の翼型の次にNACAで研究された翼型です。

5桁系の翼型のキャンバーは前半部分と後半部分に分かれており、後半部分が「直線」または「反転キャンバー」の2種類あるのが特徴です。

翼厚分布は4桁系のものと同じで、最大翼厚位置も30%位置にあります。

NACA 5桁系の翼型名称も形状を表すパラメータになっています。

NACA翼 – 6系(NACA 6 series airfoil)

NACA 6系の翼型(NACA 6 series airfoil)は、4桁系・5桁系の翼型から最大翼厚位置を後方に移動させ、低抵抗を目指した層流翼型です。

翼型名称のつけ方は4桁系・5桁系と違い、先頭の番号はシリーズの番号を表しています。1系から8系までの種類があり、先頭番号が「6」であれば6系の翼型ということになります。

スーパークリティカル翼(Supercritical airfoil)

スーパークリティカル翼(Supercritical airfoil)は、Whitcombによって提案された遷音速翼型で、一般的な翼に比べフラットな翼上面・後縁の大きなキャンバーを持つのが特徴です。

遷音速の流れでは翼上面は超音速に加速されますが、フラットな翼上面により衝撃波の発生を抑制しています。

厚みのある翼型であるため、強度や燃料搭載スペースの利点もあります。

対称翼(Symmetrical airfoil)

翼型が上下対称の形をしているものを対称翼(Symmetrical airfoil)といいます。

上下対称のため迎え角ゼロの場合は揚力は発生しません。そのため、尾翼などの飛行安定用の翼によく利用されます。

反転キャンバー翼(Reflexed camber airfoil)

翼の後縁が上向きに反り上がった翼型を反転キャンバー翼(Reflexed camber airfoil)といいます。

この翼の一番の特徴は、反り上がったキャンバーにより空力中心のピッチングモーメント係数が正となるため、水平尾翼なしで飛行(無尾翼飛行)できることです。

しかし、ピッチングモーメントが正であること以外に、揚力や抵抗の空力特性があまり良くないため現在では利用されていません。

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ABOUTこの記事をかいた人

1985年9月生まれ。大阪出身。息子と娘の2児の父。
東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了。
学生時代は数値流体力学を用いた航空機の空力設計の研究に従事。
卒業後は航空機製造メーカーにて旅客機の設計を担当。