翼型の失速とは
翼型の失速とは、翼の迎え角を大きくした時に翼表面の空気の流れが剥離することにより揚力が減少し圧力抵抗が増加してしまう現象のことです。
失速すると揚力を失うだけでなく急激な抵抗増加により速度も低下するため、飛行が困難になります。そのため翼型の設計では、失速時の揚力・抵抗の変化が緩やかな翼型を選定する必要があります。
翼型の失速時の空力特性
翼型の失速時の揚力・抵抗
NACA-TN-2502に記載されている典型的な前縁失速の例としてNACA631-012翼型の風洞試験結果(揚力と圧力抵抗)を見てみます。
揚力は迎え角12.8°までは直線的に増加しますが、12.8°を境に急激に減少します。また同じタイミングで圧力抵抗も大幅に増加していることが分かります。
このように翼型が失速すると揚力が減少し抵抗が増加します。
翼型の失速時の翼表面の圧力分布
このグラフは先ほどと同じNACA631-012翼型の風洞試験結果の翼表面圧力分布です。
失速直前の迎え角12.8°では翼前縁は大きな負圧となり揚力の源になっています。
しかし迎え角をさらに1°傾けた13.8°では、剥離により翼前縁の大きな負圧が消失し後縁に向かってフラットな圧力分布になっています。
翼型の失速動画
この動画はアメリカのNCFMF(National Committee for Fluid Mechanics Films)によって作成された翼型の剥離の様子を可視化した映像です。
実験動画の解説
迎え角がほとんどない状態では、流れは翼表面に沿って綺麗に流れています。
迎え角を大きくするにつれて、流れは徐々に翼表面から剥がれていきます。このケースでは後縁から流れが剥がれ始めています。
迎え角を大きく取ると、流れは前縁から大きく剥がれ翼表面に沿って流れなくなります。この状態を失速といいます。失速時には揚力は減少し抵抗は増加します。
まとめ
- 翼型の失速とは、迎え角を大きくした時に翼表面の空気の流れが剥離することで揚力減少・抵抗増加する現象のこと。
参考資料
次の記事
翼型の失速の仕方は翼型によって様々です。次の記事では翼型の失速の種類と仕組みについて解説します。
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