翼型の空力特性を表す3つの性能曲線
上のグラフはNACA-TR-563のNACA4412翼型の風洞試験結果です。(空力係数のデータは25%コード長基準で整理されています。)
翼型の空力特性を表すグラフは3つあります。
- 揚力曲線(lift curve):迎え角に対する揚力係数の曲線
- 抵抗曲線(drag curve):迎え角に対する抵抗係数の曲線
- ピッチングモーメント曲線(pitching moment curve):迎え角に対するピッチングモーメント係数の曲線
ここでは翼型の揚力・抵抗特性の基本的なポイントについて解説します。(ピッチングモーメントについては飛行機の安定性の講座で別途解説します。)
翼型の揚力特性の見方
翼型の揚力特性で重要なポイントは4つあります。
- ゼロ揚力角(zero lift angle)
揚力がゼロになる迎え角をゼロ揚力角といいます。一般的なキャンバー付きの翼型では負の値で、対称翼型では0°です。
- 揚力傾斜(lift curve slope)
揚力は失速するまでほぼ直線的に増加します。この直線の傾きのことを揚力傾斜といいます。理論的には \(2\pi \) (迎え角をラジアン単位にした時)になります。 - 失速角(stall angle)
翼型の迎え角を大きくしていくとある地点で揚力が大きく減少します。このことを翼型の失速といい、その時の迎え角を失速角といいます。
- 最大揚力係数(maximum lift coefficient)
翼型の出せる最大の揚力係数を最大揚力係数といいます。(迎え角は失速角です。)
翼型の抵抗特性の見方
翼型に生じる抵抗は、亜音速では摩擦抵抗と圧力抵抗です。音速に近づき衝撃波が発生するとさらに造波抵抗が生じます。
翼型の抵抗はゼロ揚力付近で最小となります。最小となる抵抗係数を最小抵抗係数(minimum drag coefficient)といいます。
ゼロ揚力付近では抵抗のほとんどが摩擦抵抗です。一方、迎え角を大きくするにつれて抵抗係数はどんどん大きくなり、失速角を越えると境界層が剥離するため一気に圧力抵抗が増大します。
まとめ
- 翼型の揚力特性で重要なポイントは、ゼロ揚力角・揚力傾斜・失速角・最大揚力係数。
- 翼型の抵抗は、亜音速では摩擦抵抗と圧力抵抗のみ。音速近くで造波抵抗が生じる。
次の記事
次の記事では翼型の失速について詳しく解説します。
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