この記事では、水平尾翼による飛行機のピッチング安定の仕組みについて簡単な図解で解説します。
「飛行機の翼の構成と役割。主翼と尾翼と操舵翼。」の記事で飛行機の水平尾翼には、以下の2つの機能があることを解説しました。
- ピッチングの安定
- ピッチングの制御
この記事では、「①ピッチングの安定」について解説します。
ピッチング(縦揺れ)とは
ピッチング(縦揺れ)とは、飛行機の機首の上げ下げの回転運動のことです。
飛行機の軸定義については「飛行機の運動に重要な3つの運動軸と回転運動。ピッチング・ローリング・ヨーイング。」をご覧ください。
水平尾翼によるピッチング安定の仕組み
飛行機が上向きに傾いた時
飛行中、突風などの外乱により飛行機の機首が上向きに回転したとします。
水平尾翼は空気の流れに対して上向きに角度を持つので、上向きの揚力が増加します。
この上向きの揚力は飛行機の後方で発生するので、飛行機の重心回りに機首下げのモーメントが発生します。
尾翼で上向きの揚力が発生した結果、機首下げのモーメントにより飛行機は機首下げの方向に回転し、元の位置に戻ろうとします。
飛行機が下向きに傾いた時
今度は反対に、突風などの外乱により飛行機の機首が下向きに回転したとします。
水平尾翼は空気の流れに対して下向きに角度を持つので、下向きの揚力が増加します。
この下向きの揚力は飛行機の後方で発生するので、飛行機の重心回りに機首上げのモーメントが発生します。
尾翼で下向きの揚力が発生した結果、機首上げのモーメントにより飛行機は機首上げの方向に回転し、元の位置に戻ろうとします。
まとめ
このように、水平尾翼には飛行機の機首が上下どちらに回転しても元の姿勢に戻ろうとする働きがあります。水平尾翼により、飛行機は突風を受けても安定して飛行することができます。
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